みずほ証券が4拠点400名に展開した研修DX。VideoTouchとAIロープレの同時導入で「恥ずかしさ」と「待機時間」を解消

みずほ証券株式会社

業種:

  • 金融業

課題:

  • 研修負荷
  • 属人化
目的・課題
・マニュアルの改訂頻度が高く、動画の更新が追いつかないため、オンデマンド研修環境の構築が困難な状況
・研修時間が固定されており、多様な働き方に対応したフレキシブルな研修の実現が困難
・限られたリソースの中で、適時適切な回数のロープレ機会とフィードバックを提供できず、個別の習熟度に合わせた対応のためトレーナーの負担が増大
選定理由
・編集が容易でUIがわかりやすく、ツール初心者でも習得しやすい設計
・トライアルで工程・アウトプットともに満足できる水準に達していることを確認
・プロダクトのクオリティに対して費用対効果が高い
導入効果
・新人1研修サイクルあたり、トレーナーが担っていた座学5時間50分をオンデマンド動画サービス「VideoTouch」に置き換え、その時間をトレーナー自身の作業時間に転換
・AIロールプレイングサービス「AIロープレ」で複数同時ロープレの実現により、段取り・待機工程を2〜3日分(半日3時間)削減
・研修後にまとめて行っていたモニタリング・評価業務が、業務時間内にこまめに対応できるようになった
・AIシナリオ構築への関与を通じてスタッフのAIリテラシーが向上し、自走型DX人材が育成されつつある

みずほ証券株式会社のダイレクトチャネル事業部は、全国4拠点、約400名のスタッフが在籍するコンタクトセンターです。証券会社として金融知識と電話応対スキルの双方を高いレベルで習得させる研修が求められるなか、マニュアルの改訂頻度が高く動画更新が追いつかない状況であること、研修時間が固定されフレキシブルな対応が難しいこと、そしてトレーナーのリソース不足という三つの課題を長年抱えていました。

2025年1月、VideoTouchとAIロープレを同時導入した結果、新人1研修サイクルにつき5時間50分かかっていたトレーナーによる座学研修時間を、トレーナー自身の作業時間に充てられるようになりました。また、複数同時ロープレにより、工程2〜3日分の削減を実現。さらに、対面ロープレに潜在していた「恥ずかしさ」という感情課題の解消や、AIシナリオ構築を通じた自走型DX人材の育成という予想外の効果も生まれました。

今回は、ダイレクトチャネル事業部副部長の北野利幸様、コンタクトセンターの研修企画・運営を担う森田敦子様、東京第一・第二コンタクトセンターで研修育成チームを統括する深井千里様・鈴木政子様に、導入の背景から効果まで伺いました。

研修を厚くするほどリソースが消費される。現場が抱えた構造的なジレンマ

―― VideoTouchとAIロープレを導入される以前、研修業務においてどのような課題を抱えていましたか?

北野様
コンタクトセンターに限らず、研修・育成体制はとても大事です。ただ管理職の立場から見ると、研修・育成を手厚くやればやるほどリソースを消費するというジレンマがずっとありました。

以前は1対1の対面ロープレが中心でしたが、トレーナーが1名に拘束されている間、他の研修生が手持ち無沙汰になってしまいます。

また、対面だとどうしても緊張してしまい、普段の実力を発揮できずに終わってしまうこともあります。「じゃあ3日後にもう一回」となっても、本人にとってはさらにハードルが上がった状態で臨むことになります。このような状況を改善したいという思いが、ずっとありました。

深井様
 
研修動画の面でも課題がありました。動画は毎回撮り直しを行うため更新は年1回がやっとで、更新頻度が非常に高いマニュアルと比べて内容がかみ合わない状況になっていました。
研修生から「この内容で合っていますか?」と質問が出て、トレーナーが補足説明に追われるという悪循環もありました。

担当者の熱量とトライアルが決め手

―― ツール導入を本格的に検討し始めたきっかけは何でしたか?

森田様
トレーナーとSVを兼任しているメンバーがほとんどで、現場を見ながらトレーナー業務もこなす中で業務負荷が高まりやすい構造的な課題を感じていました。限られた時間の中で質の高い研修を続けていくために仕組みを変える必要性を感じていた中で、トレーナーが時間をかけて収録した動画がうまく活用しきれていないもったいなさも感じていました。

そこで、どうすれば改善できるか、さまざまな角度から情報を集めていたところ、VideoTouch社のサービスが課題にハマると確信し、社内に働きかけはじめました。ちょうど同じタイミングで、同部署の鈴木もセミナーに参加して「このサービスは業務効率化につながるのではないか」と報告してきたのも、推進につながりました。

―― 最終的な導入の決め手は何でしたか?

北野様
決め手は、三点です。一つ目は、当社・森田がいつにない熱量でこのプロダクトの意義・必要性を説明してきたこと。二つ目は、トライアルで実際に動画を作成し、工程もアウトプットも満足できる水準だと確認できたこと。三つ目は、プロダクトのクオリティに対して費用対効果が高かったことです。
VideoTouch社がスタートアップの会社ということで導入後のアフターフォローについて不安がなかったとは言えませんが、CS担当者からの丁寧な伴走対応でその不安は解消されました。現在は東京第一・第二コンタクトセンター、大阪、札幌の4拠点、400名規模への展開となっています。スモールスタートで効果を確認しながら、活用範囲を広げているところです。

座学5時間50分をトレーナーの作業時間へ。「転換」がもたらした余白

―― VideoTouch導入後、現場にどのような変化がありましたか?

森田様
 導入前は、座学をVideoTouchのオンデマンド動画に置き換えることで研修プログラム全体の期間を短縮できるのではと期待していました。

実際には研修期間はそのままでしたが、むしろ研修の質が変わったという実感があります。トレーナーが担っていた5時間50分の座学をオンデマンド動画に置き換えた結果、その時間がトレーナーの作業時間としてそのまま転換され、今までできなかった個別具体のフォローや一人ひとりに即したアドバイスが現場でできるようになりました。

深井様
動画のカットやスライドの追加も容易に更新できるようになったのも本当に大きいです。以前は全部撮り直しだったので更新頻度も年1回がやっとでしたが、VideoTouchは編集が直感的で手軽なので、マニュアルが更新されたらすぐに動画も直せる。「更新したい」と自然に思えるツールになっています。

鈴木様
以前は研修後にまとめてモニタリング評価を行っていましたが、今は動画を見せている間に日中の空き時間で済ませられるようになりました。
モニタリングの頻度・本数自体は変えていませんが、トレーナーの時間の使い方が変わりました。以前と比べて残業時間の削減という面でも効果が出ていると感じています。

潜在していた「恥ずかしさ」をAIが可視化。ロープレ工程2〜3日分の削減も実現

―― AIロープレ導入後の効果はいかがでしたか?

北野様
 複数名が同時並行でロープレを実施できるようになったことで、段取りや待機に費やされていた時間が消滅しました。1研修サイクルあたり2〜3日分(半日3時間相当)の工程削減につながっています。
また、トレーナーからのフィードバックはどうしてもオブラートに包んだり言葉が強くなったりしますが、AIは同じ客観評価の基準で採点とアドバイスをくれます。トレーナーとオペレーターが「共通の物差し」を持てることで、自己学習の質が高まっています。

深井様
以前は複数人のロープレで、一人が練習している間、他の研修生は待機状態になっていましたが、AIロープレの導入によって全員が同時にロープレに取り組めるようになりました。
AIロープレでは全員に同じ題材を均一に提供できるため、4〜5人いるときにトレーナーが一人ひとりに異なるシナリオを考える工程もなくなりました。研修後の評価業務も定時内で完結するようになっています。

―― 管理者として、予想外の変化はありましたか?

北野様
AIロープレが「恥ずかしさ」という潜在課題を可視化したことです。今までは「型にはめる研修」が中心で、そこまで顕在化した課題としては認識していませんでした。しかしAIロープレを導入したことで、把握されていなかった課題も見えてきた。これは大きな発見でしたね。

鈴木様
近年、若い世代を中心に電話よりもチャットやメッセージでのやり取りに慣れている方が増えており、コンタクトセンターに入社される方の中にも電話対応に不慣れな方が一定数いらっしゃいます。対面のロープレではどうしてもギクシャクしてしまいがちで、トレーナーからもそうした声が上がっていました。
AIなら周りを気にせず自分のペースで練習できるので、「わかりやすい表現が学べる」「気づきが多い」という声がチャットで頻繁に届いています。
また、「AIから質問されたんです」とメンバーが話しかけてきて自然と会話になる場面も生まれています。応対内容がすべてテキスト化されることで「あ、私こんなこと言ってたんだ」という振り返りもでき、自分で学習するという使い方も出てきています。AIロープレの導入が新しいオペレーターの興味・関心を引き、職場への定着にもつながっていると感じています。

AI・DXを「使う側」から「作る側」へ。現場トレーナーが体験した自走型DX

――  AIシナリオ構築を通じた現場スタッフへの効果と、今後の展開について教えてください。

北野様
 AIやDXというと、どうしても「与えられたものを使う側」になりがちです。ところが今回、AIロープレのシナリオを現場のトレーナー自身が構築・改善していく中で、「作る側」に回れた。いかにオペレーターに効果が出るロープレを作るかを考えながら使いこなしていくこの経験が、大きな価値につながっていると感じています。

この知見はコンタクトセンターに閉じることなく、営業店の新入社員研修への展開も始まっており、AI・DXが全方位的に業務へ組み込まれていくステップの一つになっています。

今後はロープレシナリオのさらなる充実に加え、研修動画とミニテストの組み合わせ、そしてAIモニタリングによる客観的なデータを用いた可視化にも期待しています。

鈴木様
「自分の仕事に幅が出た」というのは、私自身の実感でもあります。今まで自分の言葉だけを信じてやってきた研修が、AIが代わりに壁打ちをしてくれることで、自分がより付加価値の高いフォローに集中できるようになりました。

最初は苦手意識を持っていたメンバーも一緒に使いこなしてきた中で、DXへの挑戦心を養ってもらいたいという思いがこの1年ずっとあります。AIロープレはスクリプト外の言葉を喋ったときにどんな反応が返ってくるか、という発見もあって面白いです。自分が楽しめることは他の方も楽しめると思って、オペレーターにも「楽しんでやってみて」と伝えています。

まずは「触ってみる」。走りながらブラッシュアップする姿勢が成功の鍵

――  同じ課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。

森田様
最初から完璧なものを求めず、まずは導入して走りながらブラッシュアップすることが大事だと思います。自分たちでシナリオを作ったり改善したりするプロセスそのものが、スタッフやトレーナーの成長とやる気につながっています。まずは一歩踏み出してみることをお勧めします。

北野様
 研修にかかる工数は単に時間だけでは測れません。人的なリソースの創出と、オペレーターと向き合う時間の創出、この両方がこのツールで実現できています。「触ってみる」「試してみる」ことから始めてみると、さまざまな相乗効果が期待できると実感します。

―― 北野様、森田様、鈴木様、深井様、貴重なお話をありがとうございました!

【インタビューご担当者】
みずほ証券株式会社 
ダイレクトチャネル事業部 副部長:北野 利幸 様
コンタクトセンター運営管理チーム:森田 敦子 様
東京第一コンタクトセンター 総括:深井 千里 様
東京第二コンタクトセンター 総括:鈴木 政子 様